日本の伝統的な技が集約されている神社。その造形はとても美しいですよね。
特に屋根には、効果な材料や特殊な技法が多く使われています。
屋根の仕上がりで、そのお堂の善し悪しが、決まると言っても過言ではないと言われるほど、建築の中で重要な位置を占める屋根。
今回は、そんな日本古来の技法を駆使した神社の屋根についてまとめてみました。
目次
1.神社の屋根の形
神社の屋根の形はいくつかの種類に区分できます。代表的な6つの屋根の形はこちらです。
1-1.神明造(しんめいづくり)
代表的な建造物:伊勢神宮内宮
伊勢神宮に代表される神明造はもっとも古い神社建築様式とされています。
屋根は、茅葺きとされていますが、一般には板萱や銅萱も含まれます。屋根に耐久性の低い萱や板を使うため、屋根の勾配をきつくして雨や雪を流れ落ちやすくしているのが特徴です。台湾の神社のほとんとは、神明造で作られているそうですよ。
1-2.大社造(たいしゃづくり)
代表的な建造物:出雲大社
出雲大社を代表とする建築形式。「神明造」同様、日本最古の神社建築形式のひとつです。
古代の宮殿建築を真似たものと言われています。屋根は切妻屋根で、上から下へ優美な曲線を描いているのが特徴です。これは中国大陸文化の影響で、後世に変化したものとされています。屋根は茅葺きで、雪が積もるのを避けるために傾斜はかなり急につくられています。
1-3.流造(ながれづくり)
代表的な建造物:伏見稲荷大社
日本全国、最も広く分布している建築形式が流造です。切妻屋根で、妻面が側面にあり、屋根が上から下へ優美な曲線を描いているのが特徴です。屋根の勾配はきつくなく、前面に長く流れるように庇の位置まで延びていて、屋根と庇が一体になっているのが特徴的です。屋根の一方が長く、一方が短く、不均衡になっているので見分けやすいつくりです。屋根材は萱葺き、桧皮葺き、銅板葺きのものなど、各種あります。
1-4.住吉造(すみよしづくり)
代表的な建造物:住吉大社
住吉大社に代表される住吉造の特徴として、破風は古式の直線形であり、大嘗祭の際に造られる建物と似ているとされています。伊勢神宮に代表される神明造や出雲大社に代表される大社造と共に、神社建築の最古の様式とされ、屋根は茅葺、柿葺、檜皮葺など幅広く、 住吉大社の破風は直線形、妻飾りは交叉合掌型となっています。
1-5.八幡造(はりまんづくり)
代表的な建造物:宇佐神宮
八幡造は、2棟の建物を前後に連結させてひとつの社殿になったもので、 日光東照宮などの権現造も、八幡造の派生といわれています。
切妻造、屋根は前殿と後殿の軒の接する谷間に、金属製の樋を渡して雨水を受ける構造になっています。 側面切妻の破風は、懸魚で修飾されているのが特徴です。
1-6.春日造(かすがづくり)
代表的な建造物:春日大社
春日大社に代表される春日造は、出雲大社に代表される大社造と同様に、切妻造・妻入ですが、屋根が曲線を描いて反り、正面に片流れの庇(向拝)を付しているのが特徴です。屋根材は茅葺き、柿葺、檜皮葺、銅板葺きなど。 切妻造の破風(三角形の面)を正面に向け、破風の内側は懸魚などで装飾されています。 手前に伸びる向拝の勾配はきつくなく、優美な曲線を描いています。
2.神社の屋根の素材
神社の屋根で使われることの多い素材をご紹介致します。
2-1.檜皮葺(ひわだぶき)
屋根葺手法の一つで、檜(ひのき)の樹皮を用いて施工します。 日本古来から伝わる伝統的手法で、世界に類を見ない日本独自の屋根工法です。多くの文化財の屋根でにこの檜皮葺が使われています。檜皮を1.2センチメートルずつ、ずらしながら重ねて葺いてゆき、網目のようにヒノキを組み合わせて葺いていきます。竹釘で檜皮を固定し、 軒先を厚く見せて優美な屋根の曲線を作ることが可能です。
2-2.銅板葺(どうはんぶき)
銅板葺は、銅を薄くした板で葺いた屋根の総称です。檜皮葺よりも長持ちし、瓦よりも軽いので、神社で多く見られる屋根材です。屋根自体が軽いので、木造の構造が長持ちするので好んで使用されます。銅板葺は、鋼板を何等分かに裁断して使いますが、その葺材が小さいほど上等工事とされています。異金属に弱く接触することで腐敗が早まるため、ネジなども銅製や真鍮を使います。よく見られる緑がかった色は銅のサビで、これを緑青(ろくしょう)と呼びます。このサビによって銅板表面に皮膜を作り、内部の腐食を防いでいます。
出典:http://verdure.tyanoyu.net/cyasitu010116.html
2-4.日本瓦
通常、神社の屋根としては使われることの少ない瓦ですが、作られた時代の流れや建て替えの予算により、瓦屋根が使われている神社も少なくありません。また、瓦は重いので、地震や台風の際に被害が増えることも懸念されます。伝統的な神社では、仏教建築との差異を意識し、あまり好まれない瓦屋根ですが、例外的に沖縄の神社は伝統的な赤瓦を用いてつくられています。
2-5.ステンレス瓦
近年、新しい屋根材としてよく使われるのがこのステンレス瓦です。従来は銅製のものが重宝されてきましたが、酸性雨や環境の変化により、その流れは変わってきています。ステンレスは耐候性に優れた素材で、サビの心配がなく、長くその存在を保つ必要がある神社には最適な素材として注目されています。実際に多くの神社が吹き替えの際にステンレス製の瓦で葺き替えています。軽さと耐久性を併せ持った高機能な屋根材ですね。
出典:http://www.ihirab.com/p_news/p_news004/
豆知識:神社に性別がある!?
神社には、奉られている神様の性別があるってご存知でしたか?
日本の神様には大きくわけて
- 天孫降臨からの「天津神様」
- 元々日本国に遷座されていた「国津神様」
という二つの派があり、実は屋根をみればその祀られている神様の性別がわかってしまうんです。
- 正面から見て手前に屋根が流れているように見えるのが、「天津神様」を奉っている社
- 正面からみて山の字型に中心が盛り上がっているのが「国津神様」を奉っている社
さらに、性別は屋根の上にある千木(ちぎ)というものを見ると分かります
- 千木の先端が水平に削られているものは女の神様
- 千木の先端が垂直に削られているものが男の神様
千木の先端が水平 | 千木の先端が垂直 |
女の神様 | 男の神様 |
を奉っているとされています。また、この形には例外があり、有名な伊勢神宮ではこれに当てはまらない複雑なお社もありますので、気になった方はぜひ詳しく調べて、神社の屋根の豆知識について詳しくなってくださいね。
出典:http://dc-masuda.com/hospital-blog/%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E8%A6%8B%E3%81%A6%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%80%81%E5%A5%89%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%80%8C%E7%94%B7%E7%A5%9E%EF%BC%9F%E5%A5%B3%E7%A5%9E%EF%BC%9F%E3%80%8D/
まとめ
いかがでしたか?日本の伝統的な技法には、思わずため息がでてしまうほど美しいものばかりですよね。
次回神社やお寺を訪れた際には、ぜひ屋根にも注目して見学してみてくださいね。きっと新しい発見があることでしょう。
神社や仏閣はとても長い歴史を持つ建造物ですが、その歴史は、長い間こまめな劣化のチェックと、定期的なメンテナンスがきちんと行われてきた証拠でもあります。有名な伊勢神宮の式年遷宮などは、その技術を後世に絶やさないために編み出した儀式だとされています。
一般の住宅にも同じことが言えます。屋根はまさに家を支える大切な部分。屋根の劣化を放置してしまうと、雨漏りや浸水など、家に甚大なダメージを与えてしまう場所なのです。
普段なかなか目にする機会のない屋根ですが、こまめなチェックと、定期的な塗り替えが必須です。
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屋根を適切にメンテナンスして、我が家を長く快適に保ちましょう。
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