土葺きとは?瓦屋根の固定方法を理解して適切な修理を実現する全知識

瓦土葺き

瓦葺きの工法は時代と共に変化しています。
過去の震災や大風被害などの自然災害から、より安全で安心な葺き方が研究されているのです。

今回は瓦葺きの工法のひとつ、土葺きについてです。
古くから瓦を支えてきたこの工法についてお伝えします。

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1.土葺きってどんな工法なの?

土葺きとは、湿式工法の事で、野地板の上に杉の皮などの下葺き材を敷き、その上に粘土を乗せ、その粘土の接着力で瓦を固定していく工法です。
明治から昭和初期にかけて主流でした。
さらに、べた葺きと筋葺きに分かれます。

1-1.べた葺き

野地板全体に土を敷き詰めて屋根を葺いていきます。
屋根の下地に多少の不具合がある場合でも土を敷き詰める事によって瓦を安定して葺くことができます。
断熱性、防火性が高くなりますが、瓦、土の重みがかかるため、建物への負担がかかってしまいます。

1-2.筋葺き

瓦の谷の部分に当たる箇所に土を敷きます。土を筋状に置くことから筋葺きと呼ばれています。
べた葺きに比べると、多少屋根の重量が減ります。

2.土葺きは現在でも使われているの?

土葺きは、土の下地に瓦を載せているだけで、瓦自体は一切どこにも固定していません。
なぜ瓦を固定しなかったのかというと、地震対策だったと言われています。
瓦に土までプラスされると相当な重さになります。屋根が重いと大きな揺れが起きたときに建物が左右に大きく揺れます。
そこで、揺れ幅が大きくなった時にわざと瓦がずれ落ちるようにしたのです。そうすることで、建物が崩壊するのを防いだのです。
昔の家は、崩壊せずに傾いてしまっただけなら元に戻すのは比較的簡単ですし、土葺きの土も再利用できます。
現在の屋根を軽くして耐震性を高める発想とは真逆で、重い屋根でも地震に耐えられるとされていたのです。

土葺き工法が使われなくなってきたのは、関東大震災後と言われています。
震災後、土葺きの瓦が落ちたのに対し、引っかけて留めていた瓦は落ちていなかったため、政府が引掛桟瓦を使用するように努めることと改訂したため土葺き工法が使われなくなっていきました。
また、地震が少ないとされている関西地方で土葺き屋根が多く見られていましたが、やはり阪神淡路大震災後に土葺き屋根が少なくなったといいます。

また現代では、建物に開き戸が使われていたりして、傾いてしまったら元に戻すのは容易ではなくなったことと、屋根材を軽くすることが主流なため、土葺き工法が選択されることはほとんど無くなりました。
たまに、土葺きにこだわる方がいるそうですが、土葺きができる瓦葺き職人が少なくなっているので、施工をするのが難しくなっています。

3.太陽光パネルは設置できる?

土葺きの屋根に太陽光パネルの設置を検討していてこの記事を見ている方がいらっしゃると思います。
施工事例はたくさんあります。
ですが、対応していないメーカーや、瓦の痛み具合によっては設置できない場合があります。
その場合は、屋根を葺き替えも同時に行う必要が出てきます。

また、太陽光パネルの重量も加わるため、屋根がさらに重くなります。
そこで、設置部分だけ土や瓦を撤去する方法などが取られる場合もあります。

太陽光パネルの設置する際は、必ず業者に現地調査を頼み、見積りを出してもらってください。
ろくに調査もせずに、設置できますと言ってきたり、できませんと言ってくる業者には依頼しないようにしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

現在は、土葺きから葺き替える家が多く、土葺き工法が減りつつあります。
葺き替えの際は、土埃がかなり舞ってしまいご近所への配慮が必要になります。
土葺きの施工は取り扱いが難しいので、必ず専門業者に依頼するようにしてください。
専門業者へのお取り次ぎはイーヤネットにご依頼ください。

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