日本人を代表する建造物といえば、お寺や神社などがまず頭に浮かぶのではないでしょうか?
風情があり、思わず見とれてしまいますよね。
そこで、この記事ではお寺や神社の屋根について建築様式や修理方法まで詳しくお伝えします。
1.日本の建築様式
日本古来の建築様式には、「和様(わよう)」、「唐様(からよう」、「天竺様(てんじくよう)」という3種類があり、それらがミックスされた「折衷様」として分類されます。
この、3種類の建築様式のうち和様と唐様は中国より伝来した建築様式で、和様は日本独自の建築様式となります。
その中でも日本古来の建築様式である和様は、落ち着いた趣のある佇まいなのに対して、唐様と天竺様は装飾的な印象を受けます。
2.本瓦葺き
お寺や神社の屋根の多くには本瓦葺きと呼ばれる工法が採用されています。
本瓦葺きとは平瓦と丸瓦を交互に組み合わせて並べる屋根の葺き方で本葺きと呼ばれます。
3.反り屋根
神社や寺などの屋根は反り屋根が一般的です。
反り屋根のことを別名”てり屋根”とも言います。
反り屋根の原点は中国などの大陸から伝来され、中国の仏閣などでもみることができます。また、反り屋根は格式や荘厳を表現していることから神社や仏閣に採用されるようになりました
3-1.反り屋根の修理・施工方法
反り屋根の施工及び、修理には職人の中でも専門の高い技術力が必要とされます。
この反り屋根の美しい曲線の描き方は、屋根の頂点である、本棟から屋根の先端である、軒先に向かって糸を垂らし、その曲線と同じ曲線を描いて施工されたと言われています。
その為に、屋根の端と端で、少しでも曲線の角度(R)が異なってしまうと、屋根が歪んでしまう為に、反り屋根の修理は専門の職人が存在するほど、難しいのです。
また、反り屋根の上部から、下部に施工される「のし積み」された棟の曲線が特に美しいとされています。
その、美しい曲線を表現する為に、のし瓦を微調整しならが曲線を表現しているのです。
そもそも、瓦自体は直線で作られている為に、そのままでは滑らかな曲線を描くことはできません。
その為に、曲線を描く為に、瓦を一枚一枚曲線に合う様に削り、重ねる瓦の段数を増やすことで、曲線を表現しているのです。
この様に、反り屋根は重力バランスをベースにした、自然の曲線を採用していることから他を寄せ付けない美しさを表現することができるのです。
4.むくり屋根
反り屋根は中国や大陸から伝来された、いわば輸入された建築様式ですが、一方、むくり屋根は日本独自に発展してきた屋根の建築様式といえます。
反り屋根独自の曲線が、格式や荘厳を表現しているのに対して、むくり屋根は、低姿勢、丁寧さを表現しています。
日本人独自の精神性が浸透して、むくり屋根は日本の身分制度にも影響を与え、商人の家屋に積極的に取り入れられたと言われています。
4-1.むくり屋根が見られる場所
むくり屋根は独特の丸みを帯びた美しい外観から、商人の家屋だけにとどまらず公家の家屋にも採用されてきました。
その中でも、現代でむくり屋根が見学できる代表的な場所は、「桂離宮」です。
むくり屋根はその外観の美観ではなく、雨に対しての防水機能も優れています。
むくり屋根は丸みを帯びた形状から軒先(屋根の先端)になるにつれて勾配が急になります。その為に、一般的な住宅に採用されている直線屋根と比較しても、軒先に水が留まるのを防ぐ役割があります。
まとめ
神社や仏閣を訪れて、その風情に思わず見とれてしまうこともありますが、屋根の施工方法や種類まではあまり気にかけることはないと思います。
しかし、年末年始の初詣やあなたにある神社の屋根を見上げてみるのも面白いと思います。
また、本文をお読みいただいた方であればご理解いただけると思いますが、お寺や神社の屋根は専門の業者でなければ修理が難しい為に、修理の際は専門の屋根業者に工事を依頼されることをオススメします。
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