屋根がだいぶ古くなってきた時に検討するのが葺き替え工事。
同じ瓦にしようか、思い切って違う瓦にしようか、今流行っている屋根は何だろうとか、とても悩むと思います。
そこで、瓦屋根について代表的な3種類をご紹介します。
特徴、費用、施工法などについてまとめてみました。
目次
1.瓦屋根の3つの種類
1-1.日本瓦
瓦で連想されるのがこのタイプでしょう。和瓦とも呼ばれます。
粘土で成形したものを高温で焼成して製造します。セメント瓦を日本瓦として説明する業者もいますが、厳密は含まれません。
素地をそのまま焼成してできた「いぶし瓦」や、釉薬という焼き物の表面を陶器質にするうわ薬を塗って焼成した「釉薬瓦」などがあります。
●メリット
- 耐久性が高い
日本瓦の耐久年数は60年とされています。
ガラスコーティングや炭素皮膜などが雨水の浸入を防いでくれるため劣化しにくいです。 - 耐火性・防火性が高い
高温焼成で焼き締められた瓦です。耐火性・防火性はすでに証明されていると言えます。 - 強度がある
日本瓦は焼き締められているためとても硬く衝撃に強いとされています。 - 塗り替えの必要なし
日本瓦は塗装の必要がありません。
塗装をしてしまうと、塗料が浮いてきて瓦表面と一緒に剥がれてしまい、逆に劣化を招いてしまうのです。
●デメリット
- 重い
やはり一番言われるのが重量が重いという事でしょう。
大きな揺れが起きると、ずれて落ちてしまいます。
しかし近年、耐震性については施工方法の見直しや、瓦の軽量化によって解消されつつあります。 - 価格が高い
日本瓦は高級瓦です。また、工期が長くかかりますので余計にコストが増えます。 - メンテナンスは必要
よく、日本瓦はメンテナンスの必要が無いなどと言われますが、それはあくまでも瓦のみに対してです。
他の屋根材と同様に、野地板、棟部の漆喰等は定期的に点検し、それに応じたメンテナンスが必要になってきます。 - 職人が不足している
日本瓦葺き工事は技術力が必要になります。近年は日本瓦の施工数も減ってきているため、経験不足、能力不足な瓦職人が増えてきています。
1-2.スレート瓦
スレート屋根、コロニアル、カラーベストなどの呼び方のほうが一般的になっていますが、スレート屋根材も瓦に分類されます。
スレートとは、日本語に訳すと、粘板岩の事でスレートを屋根材に加工したものをスレート瓦といいます。
現在は、セメントに繊維を混合した薄い板状の化粧スレート瓦が広く使われています。
●メリット
- 低価格
スレート瓦はこれが一番の売り文句ではないでしょうか。
さらに、施工経験がある業者が多いことも低価格の理由となっています。 - 軽い
とても軽量な瓦なので、建物への負担が減り耐震性がアップします。 - デザイン性が高い
カラーバリエーションが豊富で、形も様々なタイプが出ているためデザイン性の高い外観を造り上げることができます。
●デメリット
- 割れやすい
現在普及しているスレート屋根の主材料はセメントです。薄くて軽い屋根材を実現しましたが、その分強度に影響が出ます。
何か硬い物が当たってしまったり、下穴をあけずに釘を打ち込んでしまったなどが割れてしまう原因になります。 - 塗り替えが必要
スレート屋根は塗装で色づけしています。その為、塗膜が劣化してくると耐久性も低下するため、定期的なメンテナンスが必要になります。
塗膜の劣化が進むと雨水等の侵入を防ぐ事ができなくなるため、雨漏りの原因にも繋がりますし、割れてしまう事もあります。 - 耐久性
お住まいの環境にもよりますが、他の屋根材に比べると耐久性が低いとされています。
1-3.ガルバリウム鋼板
こちらの屋根材も瓦のイメージが薄いと思いますが、「ガルバニウム」とは正確には金属瓦の商品名になります。
鋼板を芯としてアルミ亜鉛合金をめっき加工した屋根材です。
最近、外装材の中で注目を集め、屋根材の中でも人気が出てきています。
●メリット
- 薄くて軽量
建物への負担を軽減し耐震性をアップさせます。 - 錆びにくい
金属屋根というと錆びやすいイメージですが、防食性が高いため錆びに強いです。 - 耐用年数が長い
アルミニウムが作り出す皮膜により耐久性が高く、耐用年数が20~30年と言われています。
厳しい環境にも耐え、十分性能を発揮します。
●デメリット
- へこみやすい
薄い金属の板から成りますので、衝撃に弱く傷がつきやすく、へこみやすいです。 - 防音性が低い
雨音が響きやすいため、防音性を高めるために追加の施工が必要になることがあります。 - 断熱性が低い
やはり、金属ですので熱を通しやすい性質があるため断熱性が低いです。
断熱性を上げる加工等をしないと室温に影響が出てしまいます。
2.瓦の葺き替え工事の時期
屋根のメンテナンス方法は、部分補修、塗装、重ね葺き(カバー工法)、など様々です。
その中でも古い屋根材を撤去し、新しい屋根への葺き替えは大がかりな工事になります。
では、葺き替えるタイミングはいつなのでしょうか?
瓦別にまとめてみました。
日本瓦 | スレート瓦 | ガルバニウム鋼板 | |
---|---|---|---|
耐用年数 | 50~100年 | 20年 | 30年 |
葺き替え年数 | 30~40年 | 15~20年 | 20~25年 |
チェックポイント | ・瓦が割れてきた ・瓦がずれたり浮いている ・苔やカビが生えて黒ずんでいる ・天井に雨染みがある ・しっくいが剥がれている |
・瓦が割れている ・瓦が反っている ・苔やカビが生えている ・屋根が白っぽく変色している ・棟板金が浮いている ・天井に雨染みがある |
・屋根に穴が空いている ・屋根に凹み箇所がある ・釘やビスが錆びている ・屋根が白っぽく変色している ・天井に雨染みがある |
2-1.屋根の耐用年数は主に下葺き材の耐用年数で考えられます!
上の表を見て、耐用年数と葺き替え年数目安のずれに疑問を感じると思います。
なぜ、ずれが出てしまうのかというと、屋根の部材の耐用年数がそれぞれ違うからです。
屋根は基本的に3つの部材から成り立っています。
下から、下地材→下葺き材→仕上げ材です。
- 下地材・・・野地板、コンパネ、合板など
- 下葺き材・・・アスファルトルーフィング、改質アスファルトルーフィング、透湿ルーフィングなど
- 仕上げ材・・・日本瓦、スレート、ガルバリウム鋼板など
屋根の耐用年数は部材の中で一番弱いものに合せます。
一般的に下葺き材の劣化が一番早いので、下葺き材の耐用年数によって葺き替え時期が決まります。
また、上の表は屋根の耐用年数も考慮されていますので、実際はもっと早い時期でのメンテナンスが必要となるでしょう。
仕上げ材、例えば日本瓦は100年保つ物もあります。
ですので、仕上げ材がそこまで劣化していなければ、葺き直し工事で十分な場合があります。
葺き直しとは、ほぼ葺き替えと同じ行程ですが、下地材、下葺き材は新しくし、仕上げ材は既存のものを再度葺く方法です。
3.瓦の葺き替え工事費用
3-1.日本瓦
日本瓦 | 15,000~27,000円/㎡ |
スレート | 12,000~23,000円/㎡ |
ガルバリウム鋼板 | 15,000~25,000/㎡ |
3-2.スレート瓦
スレート | 12,000~18,000円/㎡ |
ガルバリウム鋼板 | 9,000~18,000円/㎡ |
4.まとめ
今回は葺き替えについてまとめてみました。
葺き替え工事は他のメンテナンス方法と違って、耐用年数を延ばすことができます。
大がかりな工事でコストも高くなりますが、痛みきった屋根に塗装を施しても何の意味もありません。
まずは、屋根の傷み具合を知り、葺き替え工事が必要なのか検討してみてください。
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