「日本の風景」なんて言葉で紹介される町並みには日本瓦の家が多いです。
そのくらい、日本を代表する屋根材であり、古くから親しまれていているのです。
しかし、近年日本瓦を選ぶ方が減少してきています。
そこで、今回は改めて日本瓦の魅力について調べてみました。
屋根材の基礎知識、日本瓦編です。
どうぞ続きをお読み下さい。
目次
1.日本瓦の歴史
日本瓦とは、日本で製造された粘土瓦のことです。
そもそも瓦が発明されたのは中国と言われ、その後日本に伝えられました。
日本で初めて瓦が使用されたのが奈良県の飛鳥寺だとされています。
瓦は神社仏閣、城郭で主に使用され、江戸時代には幕府が土蔵以外の建物に瓦を使うこと禁止してしまいました。
当時は火事がとても多く、消火の際に瓦が落ちてきたら危険だからという理由からです。
この禁令が解かれるまで60年ほどかかり、そこから少しずつ一般の自宅に普及し始めます。
明治時代に瓦屋根が急速に普及されたと言われています。
2.日本瓦の種類
2-1.いぶし瓦
いぶし瓦は、焼成の最終段階で瓦を密閉し、窯の中で窒素などで希釈したガスを瓦の表面につけ炭素被膜を形成していきます。
炭素被膜は銀色でこの色がそのまま瓦の色になりますが、表面の炭素被膜は経年劣化で被膜が剥がれ落ち、変色していきます。
2-2.釉薬瓦(ゆうやくがわら)
釉薬瓦は、粘土瓦の素地を乾燥させた後に、釉薬という焼き物の表面を陶器質にするうわぐすりを塗り焼成します。
陶器瓦とも呼ばれ、瓦表面は陶器のようで水分が浸透しづらいため長年美観を保つことができます。
釉薬の種類によって色が変わります。
2-3.無釉薬瓦
釉薬を塗らずに素地のまま焼成する素焼瓦や原料である粘土に金属酸化物を練り込んで発色させる練り込み瓦、酸化炎と還元炎の焼き具合のみで色を出していく窯変瓦があります。
3.日本瓦の特徴
3-1.耐久性能
風雨や太陽の光など厳しい環境下にさらされ続ける屋根は耐久性がとても重要です。
日本瓦は高温焼成で製造されるため硬く強度が高いのが特徴です。
3-2.耐火性能
日本瓦は高温で焼成されるため、耐火性については十分に証明されていると思います。
3-3.耐水性能
釉薬瓦は表面が陶器質なので雨水をほとんど吸収せずに流れ落としてくれます。
3-4.耐寒性
日本瓦は焼き締まっていて水分の吸収率が低いため、水分凍結による屋根材の損壊対策が設計されています。
3-5.断熱性
日本瓦は断熱性などの遮断性能が高く通気性も良いため快適な住まい環境を作ります。
3-6.防音性
遮音効果が高いので雨音や周囲の騒音を気にせずにいられます。
4.日本瓦のデメリット
4-1.重い
屋根の勾配に対し瓦が段々に重なる構造の為、屋根の勾配を大きくする必要があります。
4-3.割れてしまう
何か硬いものが当たったり、台風の後などに割れてしまうことがあります。
4-4.デザイン性
日本瓦は重厚感のあるデザインのため、最近流行りの金属系の壁などには合わせるのが難しいでしょう。
5.日本瓦の葺き方
5-1.瓦の形状による分類
■本瓦葺き
平瓦と丸瓦を交互に組み合わせて並べていきます。
古くから使われている方法で重厚感、曲線美などが表現できます。
重量がかさんでしまうのがネックとなり、神社仏閣、城郭以外では一般の家にはあまり使われませんでした。
■桟瓦葺き
桟瓦を葺くことを桟瓦葺と言います。
桟瓦とは、本瓦葺きのデメリットである重量が重くなることを解消するために作られた波形の瓦です。
平瓦と丸瓦を一体化させた形です。
軽いだけでなく、施工や製造のコストを抑えることができなので、一般の家の屋根へ普及されました。
5-2.葺き方による分類
■土葺き工法
土葺きとは、野地板の上に杉の皮などの下葺き材を敷き、その上に土を乗せ、その土の接着力で瓦を固定していく工法です。
■から葺き工法
葺土を使わずに、釘や銅線などの緊結線で瓦を固定する方法です。
■引掛桟瓦葺き工法
桟瓦の裏に付いている突起を、野地板に取り付けた横桟に引っ掛けて固定する方法です。
これにより瓦が滑り落ちるのを防ぎます。
葺土を使用しないので屋根を軽量化することができます。
■ガイドライン工法
阪神淡路大震災以降、日本瓦は重く建物倒壊の原因となると認識され需要が減っていきました。
ですが、現在瓦の耐震性が見直されています。
震災より前に葺かれていた瓦は、本葺きが多くただ屋根に乗っかっているだけでした。
そこで、台風や地震の揺れに強い工法が考え出されたのです。
それが、ガイドライン工法で、今までの葺き方をアレンジして、より災害に強くした方法だと思っていただければ良いと思います。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
震災以降、日本瓦は敬遠されがちの屋根材になりつつありますが、瓦自体の軽量化や耐震性の高い施工法などが生み出されています。
日本瓦はとても丈夫で長持ちするので、検討の余地は大いにあると思います。
ですが、取り扱いが難しく、熟練の職人の技術が必要なので、業者選びは慎重にしていただきたいと思います。
イーヤネットは安心のご納得いただける瓦職人をご紹介いたします。ぜひご相談ください。
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