マイホームをお持ちの方の大半は加入している火災保険。
最近では、賃貸にお住まいの方も、契約時に火災保険の加入を入居条件として設けている不動産屋も多くあります。
逆に、地震保険に関してはその加入率はとても少ないのが現状です。
日本は、世界でも認知されている「地震大国」ですが、どうして地震保険の加入率が少ないのでしょうか。
また、火災保険と地震保険の違いは何なのかこの記事で追っていきたいと思います。
目次
1. 火災保険とは
まず、火災保険とは何かをご説明したいと思います。
火災保険を簡単に言うと、損害補償保険の一種です。
火災だけでなく、風害・雪害・窃盗など自然災害で被害にあったときはもちろん、窃盗で窓ガラスが割られてしまったなどの暮らしの中での事故に対しても補償対象となります。
また、屋根や外壁などの修理時にも保険金で賄えるなど、その補償対象は充実しています。
1-1. 火災保険の種類
火災保険と言ってもいくつか種類がありますが、建物を補償対象としている【建物保険】、家の中の物、つまり家財道具を補償対象としている【動産(家財)保険】があります。
このことに関しては知らない方も多く、建物保険に加入している方は多いのですが、実際に火事など災害・事故に遭った時に、家財を補償対象とされずに頭を抱えてしまった方も中にはいらっしゃいます。
一度、加入している保険内容を改めて確認してみましょう。
1-2. 火災保険の必要性
ご自宅が火事に見舞われたことを考えると、保険があれば心強いように思いますが、心配だからとなんでもかんでも保険に入ればいいというものではありません。
1-3. 一般住宅における火事に遭う確率
ここ10年で発生している年間火災件数はおよそ5万~6万件です。
この件数はあくまで、山火事・車両火災なども含まれますので、建物火災はこの半数ほどだと思って頂ければ幸いです。
建物火災は年々減っているのは事実です。
1世帯が1年間に建物火災に遭う確率も、実は0.1%にも満たないほどなのです。
これだけ聞くと、火災保険の必要性が薄れてしまうのは確かなのですが、
“確率が低い=火災保険の必要性はない”ということにはならないと思います。
確率が低いことは正直うれしい限りなのですが、実際に起こる火災の被害は計り知れないものがあります。
家族やご自分の生命が失われることさえありますし、助かったとしても、経済面でとても苦しい思いをするのは確実です。
起こってしまった時のダメージが大きい分、確率が低くても備えておくべき保険だと思います。
1-4. 延焼でも賠償されない現実
総務省が発表している、住宅火災の原因の第1位はたばこです。
住宅火災は車の事故と同じで、自分がどんなに気を付けていてももらい事故、つまり、近隣で起きた火災によって被害を受けることもあります。
車の事故は、どんなに過失がないと主張しても、被害者は相手から保証してもらえますが、火災の場合は「失火責任法」というものがあり、延焼によって被害を被ったとしても、故意や重大な過失がない限り「火元となった人は延焼者の損害賠償責任を負わなくてよい」と定められています。
逆に、自分たちが火元の原因だったとしても、被害を追ってしまった近隣住人に賠償しなくてもいいということになります。
これは、火災が起こった場合、あまりに損害が大きすぎるため、個人ですべてを負担するのが困難であると見方から定められた法律です。
以上のことから、火災保険に加入していないと最悪の場合になってしまう状況は暮らしの中で多々あります。確率が低いからと油断しないで、常に備えていることが大切です。
1-5. 火災保険を適用した住宅の修理について
屋根・外壁のリフォームも火災保険で、無料で直せるなどと勘違いしている方も多いですが、一般的にリフォームは「部材や設備を新品交換及び追加し、新しく価値を高める工事」のことを言います。
修理とは「部材や設備の新品交換を行わず、再び本来の価値を回復させる工事」のことを言います。
そして、火災保険は修理工事を補償対象とし、リフォーム工事には対応していません。
また、火災保険で補償となると、手続きに手間を取られたり、ご自宅は補償対象にはいらないと諦めている方が結構いらっしゃいます。
確かに、火災保険を利用するとなると、保険会社が鑑定士し、補償されるか否かを判断されるのですが、築15年程経過しているお家のほとんどが、なんらかの自然災害の影響で劣化している場合が多いです。
手続きに関しても、実際にご自分で記入しなければならない申請書も2~3枚と思っているよりも簡単です。
このように火災保険とは住まいの起こりうるリスクを総合的に補償する保険であることを覚えていてください。
火災保険の補償対象は、暮らしの中で起こる損害を代わりに負担してくれる保険です。
2. 地震保険とは
私たちの記憶にも新しい「東日本大震災」。そして、最近では熊本県を中心とした地震も起きました。
近年各地で起こる地震で、地震保険にも注目も高まってきています。
地震保険とは、火災保険のオプションという形で付帯し、どの保険会社で加入しても保険料は同じなのが特徴です。
しかし、日本損害保険協会の統計によると、≪地震保険の世帯加入率は全国平均で28.8%≫となり、30%にも満たない結果となっています。
2-1. 地震保険の必要性
まず、先ほども申し上げたように、地震保険は単品での加入はしておらず、必ず火災保険とセット、つまり付帯して契約する形になります。
例えば、建物・家財共に全壊や全焼しても、最大で半分しか補償されないということになり、満額で支払われても、同じものを購入や建てることは出来ないのが前提となります。
最近では、免震等級割引・耐震等級割引などが設けられ、地震災害に強い建物は保険料を安くするというような形のものがあります。
2-2. 地震保険の保険金について
地震保険の支払いは「全焼(100%)・半損(50%)・一部損(5%)」
保険金の上限は≪火災保険の50%まで≫となっています。例えば、2.000万円の契約なら、地震保険の最高金額は1.000万円になり、3.000万円の契約なら1.500万円となります。
仮に1.000万円として、その1.000万円のうち何%受け取れるかは、上記に記載した3つの区分された損害の度合いによって決まります。
また、建物・家財によりさらに支払い条件が異なります。
2-3. 地震保険の具体的な内容
- 地震が原因で発生した災害(火災・津波など)は、地震保険に加入していないと支払われない。
- 家財物も補償対象ですが、家財総額が全体の10%を超える損害でないと、1円も支払われない。
- 単品額が30万円を超える骨董品・貴金属などはぜいたく品と判断され、ぜいたく品の類は支払い対象から外れてしまいます。
- 車などの車両は、火災保険でも地震保険でも支払い対象から外れます。
- 地震発生翌日から10日経過した後に生じた損害は、補償対象から外れます。
2-4. 地震保険の加入率が低い理由
地震保険の付帯率は、年々上昇しているとのことですが、地震が多い国ではあるのに、その付帯率は低いように感じます。
その理由は何なのでしょうか。
地震保険の加入率が低い理由:勘違い
多くの方は、火災保険で地震の際の災害も対応できると勘違いなさっている方が意外にも多いようです。
先ほどもお話ししたように、地震で起きてしまった火災は火災保険の補償対象から外れてしまいます。
日常生活で起こった火災と、地震の際に起こった火災は別物と考えましょう。
地震保険の加入率が低い理由:保険料が高い
地震保険の補償額は火災保険の半分、または半分以下ですが、保険料はほぼ倍ということが、普及の妨げになる要因ではないでしょうか。
地震大国の自覚があるにも関わらず、保険の仕組みが地震の少ない国とほとんど変わらないのが現状です。
地震保険の加入率が低い理由:加入審査が厳しい
地震保険に加入したい場合は審査を通過しないと付帯できない仕組みになっています。特に木造住宅・耐震化されていない住宅ですと、審査を通過するには困難なようです。
2-5. 地震保険のデメリットは改善されない理由
火災保険の充実な補償対象とは逆に、なぜ地震保険の内容はこんなにも薄いのでしょう。
地震が多い国なのだから、しっかりした補償内容にすればいいと思ってしまいますよね。
その疑問は地震保険の全体像を見れば少しは理解できると思います。
地震保険の付帯率は年々上昇していると先ほども申し上げました。しかし、付帯率が高くなり、加入世帯が増加した時点で大きな地震が発生したとしましょう。
保険会社からすると、加入している住宅の保証をしないわけにはいきませんので、加入している住宅を広い範囲で保証することになります。
つまり、契約通りにきちんと保険金を支払うために、必然的に保険料も高くなり、加入審査も厳しくしないといけないという訳です。
「それは火災保険でも同じ」と思う方もいらっしゃると思いますが、確かに火災保険に限らず、生命保険でも車両保険でも、どんな状況でも加入している者に対しては、必ず保証するのは当たり前です。それが保険というものです。
しかし、地震保険は他の保険対象とは違い、その補償対象が大きく広がってしまう、つまり《地震が起こると災害が大きすぎる・数多くの人に同時に多大な損害が出てしまう》ということになります。
逆に、保険料が安く、地震発生の際の補償内容も充実となると、実際に地震が発生した場合保険会社が保険金を支払えなくなってしまう可能性が高くなるかもしれません。
このことから、地震を保険で取り扱う際は非常に難しいということが分かってくると思います。また、こうした事情から地震保険は、引き受けや支払いに国が関与しているのです。
地震が多い国であるにも関わらず、その保険普及率が低い・保険内容が充実してないなんて、少し不思議な感覚になります。
地震保険を知れば知るほど、いかにこの国で起こる地震の大きさ、また地震がもたらす被害の大きさを目の当たりにした気がします。
2-5. 地震保険は本当に必要なのか?
上記のことを踏まえて、改めて地震保険の必要性について検討していきたいと思います。
保険というものは、助け合いの元に仕組みが成り立っています。
実際に地震が起こった際に、その復興をどのようにするか、また、その人の環境や考え方などで地震保険の必要性は変わってきます。
例えば、住宅ローンの残高が多い人や被災した時に収入が途絶えてしまう・貯金がない、または少ない人は地震保険の必要性は高いと考えていいでしょう。
例えば、飲食店を営んでいる方など、職場と住居が一緒になっている方がもし地震で被災した場合、営業を再開出来るようになるまでは当然収入も途絶えてしまいますよね。そういった方は、地震保険に加入していると少なからず安心できると思います。
何もかもを失ってしまったときに支給してもらえる保険金の重要性は計り知れないことでしょう。
3. 住宅における保険料の相場
保険について知識を付けたところで、次は保険料の相場について追ってみましょう。
3-1. 住宅の保険金額の基本
火災保険についてネットで調べても、ハッキリとした金額は出てこないと思います。
火災保険の保険料は加入する建物の測定を保険会社が行います。そこで出され最大支払額を参考に保険金額を設定するのが基本的な手順になります。
3-2. 保険に加入する際に気を付けるポイント
建物評価額
また、仮に建物評価額が2.500万円と出されたにも関わらず、3000万円の火災保険金額を設定したとしても、実際に被害に遭った際に受け取れる最大価格は、最初に評価された2.500万円となります。
<火災保険は、多めに保険金額を設定しても、評価額以上の保証は受け取れません>
これはどの保険会社でも同じことなので、最初に評価された以上の設定を行うと、保険料を無駄に多く支払うことになります。
保険会社を比較
この記事を読み進めている方は既にお気づきかと思いますが、火災保険・地震保険は難しい上に解りづらいのは確かです。
また、他の保険と違って火災保険・地震保険は加入するにあたり、審査があったり、契約する際に設定金額などを決めなければならなかったりと、やることがたくさんあります。
その為、比較検討する価値は十分にあるものだと理解していてください。
自由選択
火災保険は火災以外の災害も保証してくれるのがひとつの魅力です。
しかし、当然のことながら、幅広い補償を希望するとそれなりに保険料も高くなってしまうのが現状です。
新築を購入した方は、幅広い補償を希望する傾向にありますし、逆に中古物件だから最低限の補償がカバーされれば良いと考える方もいらっしゃいます。
そういった方たちに人気がある火災保険は、自分で補償内容を選択できる火災保険が今、注目を集めています。
確かに、どれを削ってどの部分を充実させるかを自分たちで検討するのも少々不安が募りますよね。
しかし、お住いによっても起こりやすい災害など、ご自分の地域の特性、お家の状況をしっかりと比較しながら検討すれば、保険料を安くできる近道にもなりますよね。
必要な補償、削ってもよさそうな補償をぜひ、検討してみてください。
火災保険の相場
一般的には、1年あたり3万円前後ぐらいが目安ではないでしょうか。
保険料は地域やお家の状況、そして加入者の条件や補償内容によって金額にかなりの変動があります。
また、火災保険については、保険会社も自由競争となっているため、同じ保証でも損保会社によって保険料の差が出てきます。
ですので、下記の表はあくまで参考としてご覧ください。
※木造住宅・東京都・戸建て
・最低限の補償があればいい場合
【必須補償】 火災・落雷・破損・爆発 【風災】 風災・ひょう災・雪災 |
約160.000円 |
・水災補償を付けた場合
【必須補償】 火災・落雷・破損・爆発 【風災】 風災・ひょう災・雪災 【水災】 |
約230.000円 |
・地震補償を付けた場合(地震保険)
【必須補償】 火災・落雷・破損・爆発 【風災】 風災・ひょう災・雪災 【水災】 【地震】 |
約360.000円
|
・幅広い補償を付けた場合
【必須補償】 火災・落雷・破損・爆発 【風災】 風災・ひょう災・雪災 【水災】・【地震】・【衝突】・【騒じょう】 【盗難】・【破損】・【水漏れ】 |
約385.000円 |
地震保険の相場(※保険金額1.000万円・保険期間1年間)
青森
【耐火】 約8.500円 【非耐火】 約16.500円 |
東京
【耐火】 約20.000円 【非耐火】 約33.000円 |
大阪
【耐火】 約14.000円 【非耐火】 約24.000円 |
長崎
【耐火】 約6.500円 【非耐火】 約10.500円 |
火災保険と地震保険を屋根修理に適用する基礎知識まとめ
保険とは、これが一番良いということは一概には言えません。
もちろん加入していれば安心なのですが、だからと言ってすべての災害に対応できるようにと数多く入っていればいいという訳でもありません。
頭を悩ませる保険価格に関しても、最低限の補償のみ対応としていれば、当然コストを抑えられます。
補償内容を削った分、火災保険料は安くなるのですから。
しかし、補償を削るということは、その災害に対して保険金がもらえないのですから、慎重に検討する必要があります。
そうでなければ、後々公開することになり兼ねません。
暮らしの環境・考え方・家計状況によって変動します。
きちんとご自身と家族、そして大切なお家のことを考えて検討していくのがいいでしょう。
最後に
最近では賃貸でも火災保険加入を入居条件としている不動産もあるため、火災保険が身近に感じていますが、その補償内容をきちんと把握しているのかと聞かれたら、頭をかしげてしまう方のほうが多いのではないでしょうか。
だいたいの方が、火災保険についてしっかりと興味を持ち始めるのは、お家を買ったときだと思います。
夢のマイホームだからこそ、賃貸の時とは違い責任や不安で出始める時だと思います。
しかし、家を購入した際に加入したまま定期的に保険内容を見直す方はなかなかいらっしゃらないと思います。
掛け金が大きい=支払われる保険金も大きいので、定期的に見直しておくと安心ですよね。
賃貸などにお住まいの方は、あまり意識しなくても、引っ越しなどをするたびに保険が変わると思います。
しかし、マンションを購入した方や戸建てを購入した方は、よっぽどの事がない限り、住居が変わることはないですよね。
お家のリフォームをした際や両親との同居など家庭環境・住宅環境が変わった時を目安として、一度加入している火災保険・地震保険の見直しをしてみるのはいかがでしょうか。
何もなかったら偶然のラッキー、何があってもおかしくない人生だからこそ、常に自分の家庭環境を整理し把握しておきましょう。
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